2011年10月14日金曜日

鉄蓋レクチャー @ OYOYO まち×アートセンターさっぽろ

10月11日、札幌にある「OYOYO まち×アートセンター」美術部の定例会にて、外部講師としてマンホールなどの鉄蓋に関するレクチャーをさせていただきました。タイトルは「路上の楽しい歩き方:『マンホールなどの鉄蓋』鑑賞/観察案内」。林丈二氏の「路上の正しい歩き方」を捩ったタイトルですが、もう少しゆる~く、これまで鉄蓋を意識して見てこなかった方々へアート的な楽しみ方を第一に伝えるような内容を目指しました。

「マンホールの蓋ってアートだよ!」といくら口で言っても、まず伝わりません。そこで今回は、自分がこれまで取り貯めた鉄蓋の画像を多用し、また一部はtwitterでの#manhotalk に集う先達の皆様にご提供いただいて、札幌・道央圏・全国と段階を踏んだ地域→全国へと視点を広げました。
そうした地域性とは別に、ただ鑑賞/観察しようといっても取っ掛かりがないと難しいので、基礎3つ、応用3つの視角を設定しました。


「アート」「歴史・郷土史」「コレクション」という3つの基礎的視角と、そこから派生する「絵に込められた意味」「近代化遺産としての鉄蓋の保存・継承」「デザインの分析・体系化」という3つの応用的視角を整理すると図のように、曼荼羅というか、鉄蓋をとりまくコスモロジーというか、なかなか興味深いものになりました。この6点は、そのまま路上観察一般にもスライドして利用できます。

最後に基礎・応用を踏まえた発展として、観察/鑑賞をどのように実践していくかについて、いくつかの提案を行なってレクチャーを〆ました。

また、少しでも身近に感じていただけるように、幾つかの展示資料を用意して、休憩時間などに手にとっていただきました。資料としては「マンホールのふた(日本篇)」「同(ヨーロッパ篇)」といった書籍や展示図録、デザインマンホールの図案、蓋メーカーさんの製品カタログ、自作のフロッタージュ、歴史的に重要な(と私は考えている)東京市型模様の設計青焼き図面、変わった所ではマンガに出てくる名古屋市型模様・中部電力の蓋、また実物資料として止水栓の鉄蓋などを展示しました。中でも「マンホールのふた(日本篇)」と製品カタログが特に人気だったようです。

書籍や図案・実物(止水栓の蓋)など東京市型模様の青焼きコピー
私は鉄蓋の観察について、単なるコレクターとしての趣味だけに終わらない、いうなれば博物館的な収集保存・調査研究・教育普及の3つの柱を持つ学術的な分野として、また工業デザインの安全性・堅牢性と人の目に触れる意味での審美性を兼ね備えるアートとして、真剣に取り組んでいきたいと考えています。今回いただいたレクチャーの場は、そうした自分の考えを整理し方向づけるのに大変役立ち、また「これでいいんだ」という自信を与えてくれました。幾つかの偶然と、ほんの少しの勇気の連鎖が、今回のレクチャーに繋がりました。人と人の繋がりに感謝します。

「正しい」札下
OYOYOの近くで発見
「誤字っぽい」札下
レクチャー内で取り上げた蓋


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