2011年9月21日水曜日

北大の鉄蓋

先日、札幌へ行ったついでに、北海道大学の構内で鉄蓋散策してきました。
といっても北大はあまりに広いので、南側半分くらいをざっくり回っただけなのですが、それでもいっぱい収穫がありました。

北大の蓋で有名なのは、なんといっても北大オリジナルのマンホール蓋です。

北 下水北大 下水
紋章座に「北」とあるものと「北大」とあるものと二種類ありますが、どちらも地紋は札幌市型模様です。

札幌市型模様は、1927(昭和2)年の札幌市下水道事業開始時に仕様が定められたものだと私は考えています(記録上の初出は管見の限りでは昭和11年刊『札幌市第二期下水道事業概要』です)。この時の下水は、汚水処理はせずに雨水・汚水合流管による排除のみでした。

「北」と「北大」の、どちらがより古いかというのははっきりしませんが、直感的には「北」の方が古いように思えます。構内で発見した枚数、字体、すり減り方などからの推測です。北大史に詳しい方、北大の関係者の方、ご存知でしたら教えて下さいませ。

北 下水 エラー蓋
ところで左の蓋は、上と同じ「北」の蓋です。クラーク会館正面のロータリーのところに設置してあり、車通りも多いのでだいぶすり減っています。この蓋、実は間違いがあるのです。何がおかしいのか、上の蓋と見比べて探してみてください。間違いと言っても使用上の悪影響は殆ど無いので、気にしなかったんだと思います。時代のおおらかさが感じられます(´∀`*) 答えは最後に。

他にも北大構内にはさまざまな蓋があり、鉄蓋探索者としては興味が尽きないのですが、その中でも特に私の興味をひき、そして詳細がまだわかっていない(調べていない)のが、次に紹介する「☆に北」の蓋です。


a) ☆北 マンホール蓋b) ☆北 ガス ハンドホール蓋
c) ☆北 電防 ハンドホール蓋d) ☆北 マンホール蓋

この4つは、いずれも紋章座に「☆の中に北の字」が描かれています。このマークが問題で、b)のハンドホール蓋から、どうやら北海道ガスの蓋で、☆北は北ガスの古い社章のようにも思われます。c)の「電防」もガス管の腐食防止効果を測定するためのもので、やはりガス会社の蓋と考えられます。しかし、本当に北ガスの古い社章なのかどうかは社史などをあたってみないと確言できません。

また、特に注目されるのはd)の蓋です。地紋全体が陰刻(線が掘り込んである、普通は陽刻)で、かつ外帯は札幌市型模様ですが内帯は「工」と「|」の繰り返し模様です。かなり初期の、貴重な蓋だと思われます。

この「☆北」の蓋は札幌市内や北海道教育大学札幌校構内でも見かけています。札幌市内を調査して、また文献調査も行って近いうちに☆北の謎(笑)を解明したいと思います。

このように、北海道大学の構内だけでも、マンホールなどの鉄蓋をテーマに探検できます。学生の皆さんはぜひ自分の学校の構内の鉄蓋をチェックしてみてください。新たな発見がありますよ(゚∀゚) 最後に間違い探しの答え:「北」と「下水」の字の向きが逆になっている。おそらく紋章座の「北」を間違えて逆さまに作ってしまったのでしょう。



2011年9月19日月曜日

夕張清水沢アートプロジェクト

先日始まったばかりの、夕張清水沢アートプロジェクトを観に行ってきました。詳細はリンク先をご覧ください。簡単に言うと、今は使われなくなった発電所の施設やズリ山などを舞台にアート作品を制作・展示するというものです。

これがすごい良かった! アートっていわれるとなんだか難しいような気がするけど、雰囲気で十分理解できました。かつての発電所という場所がアート作品に深みを与え、アート作品が今は使われなくなった建物や地域に再び活力を与える、そういうプラスの循環が感じられました。

プロジェクトのちらし

普段は入れない場所に入る背徳感

炭鉱文字「電」清水沢鉱立坑
制作した学生さんがガイドに付いてくれて、解説を聴きながらゆっくり観ることが出来たのも良かったです。制作者の想いを生で聴ける機会ってなかなかないよね。

正直言って予想より遥かに良く、気持ち的にもかなりハマってしまった感じです。既に再訪予定も決めましたw 場所的に車がないと行きづらいかもしれないけど、可能なら是非行ってみてください。土日に公開している模様です。

2011年9月3日土曜日

唐突にお仕事募集

唐突ですが、わたくしyanapongの中の人は、現在お仕事先を募集しています。

簡単なスペック:

  • 修士(教育学) 修論は北海道近代史
    題目や業績(とても少ないですが)は別途お問い合わせください
  • 中学校教諭免許(専修、社会科)、高等学校教諭免許(専修、地理歴史科)取得
    教員経験は無し
  • 学芸員資格、社会教育主事補資格取得
    公立博物館にてボランティア活動経験あり
  • 準デジタル・アーキビスト資格取得
できること:
  • 一般的なパソコン操作、文書作成、インターネット利用
    最初に所持したパソコンはNEC PC-9801 ns/T
  • Webページ作成に関して HTML、CSS記述可能
  • プログラマとしてCGI・Web系システムの開発経験あり(ブランクが長いので今はプログラミングは難しいが仕様把握や検討・提示などは可能)
  • 古文書の解読経験あり(修論では開拓使文書を多く使用)
  • 街歩き、路上観察
できないこと:
  • 専従での接客販売
  • 営業
やりたいこと:
  • 歴史・地理など人文系の調査研究、学芸員としての研究・教育普及
  • 路上観察や街歩きを切り口としたまちづくり、地域活性化、その他文化・社会教育活動
備考:
  • 月一回程度通院中です

フリーランスではなく何らかの組織に所属してのお仕事を求めています。南空知及び札幌圏であれば通えます。それ以外の場所でも、とりあえずお話だけでも聞かせていただければありがたいです。

私が書いたモノとしては、とりあえずは私が運営しているサイト「街を読む」をご覧ください。先日のエントリで挙げたマンホールに関する小論2本などが、Web上でのまとまった文章です。必要であれば論文の抜き刷りやコピーなどもお渡しできます。

暇ならちょっとウチに来てみない?という太っ腹な方がいらしたら、yanapon9 at gmail dot com までメールか、それ以外の何かしらの伝わる方法でご連絡ください。

JIS規格模様マンホール蓋について、ようやく自分の中でまとまりがついた

かつて、「JIS規格マンホールの分類」や「JIS規格模様の再検討と北海道型模様(仮称)の提唱」という記事を書きました。これらは現在の自分の中では修正されている部分も多いのですが、その時その時の考察を残しておくことは後に役立ちます。

これらを踏まえ、また事例の収集も進んでそこから見えてくるものもあり、最終的にJIS規格模様のマンホール蓋とは何かということについて小論にまとめました。タイトルもそのまんまw「JIS規格模様マンホール蓋とは何か」です。JIS規格模様とは具体的に何を指すのかを提示し、またこれを明確に定義付けました。また日本国内における汎用地紋(JIS規格模様はこのうちの一つです)のマンホール蓋について、地紋の緻密化の変容を例示し、従来の分類に加えて新たな分類を提示しました。

汎用地紋については、拙稿では地域由来型の分類をあげていますが、実際にはこれ以外にも業態別や蓋メーカー別の汎用地紋も存在します。例えばNTTの通信ケーブル用の蓋に見られるT字模様や、電力会社系に特有な「あぶく」地紋〔林 1984:123〕が挙げられます。今後はこうした汎用地紋についての収集と考察へ、研究を発展させていきたいと思っています。加えて、「JIS規格模様」=「東京市型」地紋と双璧をなす、「名古屋市型」地紋の歴史的な掘り起こしも手を付けたいところです(「東京市型」地紋の歴史的考察については、拙稿「マンホール鉄蓋における東京市型模様の成立に関する考察」をご覧ください)。


左:旧電電公社の角蓋(T字模様)、右:北海道電力の蓋(「あぶく」地紋)

ところで、こういった文章を、どこかで発表できないものかしら。発表するに値する水準
かどうかは別に検討するとしてw Webや同人誌的なものではなく、もう少しパブリックな場所で。そもそも、そこまでの需要がないかwww

おまけ:
Blogの背景画像を、自作の画像に変えてみました。雰囲気が自分好みになった(∩´∀`)∩ワーイ 正直言ってBloggerの機能にはあまり満足していませんが、とりあえずGoogle系の他サービスとの連携を考えると、当面ここで続けるのが一番効率的だなあ。

2011年9月1日木曜日

住友奔別炭鉱(立坑、炭鉱文字)

先月の27日、三笠フットパスというイベントに行ってきました。三笠市立博物館の周辺にある炭鉱遺産や地層遺産を歩いて巡るもので、ストーリーの提示されている街歩きです。事前にコース内の見どころをレクチャーしてもらい、また要所ではガイドもしていただきました。自分のペースでのんびり歩けて、楽しく過ごしました。

自分が一番見たかったのは住友奔別炭鉱の立坑です。道内の炭鉱遺産ではかなり有名なものですが、間近で見るとやはり迫力があります。知らないで参加したのですが、この施設はどうやら近々取り壊す予定らしく、殆ど見納めではないかとのことです。ラッキーでした。

 
左の写真は表から。奔別の字が力強い。
右の写真は斜め裏から。屋上にも木が生えています。

で、敷地内のよく分からない施設(倉庫?)に、炭鉱文字を発見しました。


1枚目が建物外観。外から見ても荒れてますが、中はもっと荒れてます。
2枚目は標語らしきもの。かなり癖のある書体です。一般的な炭鉱文字とは言えないかもしれませんが、「心」や「つ」など独特の書体が、意外に視認性を高めています。「事」の略体は定番ですね。
3枚目も標語です。よく見ると最後の行、機電係の「機」「電」が独特の書き方です。
立坑を見に行くつもりが、文字の方に心奪われてしまいましたw